この日も、
朝早くからウグイスの雅な声がして、
目が覚めた。
あの『ホーホケキョッ』の音色は、
部屋のなかで寝ている人間までも
自然と起こしてしまうのだから!
すごいパワーである。
そして、頼んでもなく、
お金を払っているわけでもないのに、
実家にある古い栗の木にとまりにきて、
こうして、さえずってくれるのだ。
美しい声を間近で聞けるのは、
本当にありがたい。。
福岡の街中では、ありえないと思った。
そして、
ひとしきり鳴いてウグイスは、
別の場所へと飛び立っていき、
彼のワンマンショーは、
終わった。。
しばらくして、
地面一杯に落ちたこの古い栗の木の
花を、母がほうきで掃いている
音が聞こえてきた。