稽古に行く途中、歩道を歩いていると
道路をはさんだ、
反対側の歩道の上空で、
カラスが数羽騒いでいる声が
聞こえた。
最初は、よく街中でみかける、
食べものなどを漁っているときの
歓喜の騒ぎかと思っていたら、
だんだん近づくにつれて、
争っていることがわかった。
歩きながら見ていると、
そのうちに
二羽のカラスが空中で取っ組み合い、
あれよあれよと、落ちて街路樹に
引っかかった。
これで止めるかと思いきや、
やめることなく、
羽根も広げず掴み合ったまま、
ほんとうに落下した。
人間だったら骨が折れて
いそうな勢いで。。
『ハア~ッ、大丈夫なのっ?』
その在り様に、あっけにとられ、
私も、思わず歩を止め見入ってしまった。
すると、今度は、
状況を見守っていた別の仲裁役の二羽が
すかさず、落ちた二羽に近づき、
止めろといわんばかりに双方に圧し掛かり、
引き剥がした。
仲裁役も全身投げ打ち、力づくでやめさせる
といった感じであった。
『カラスも仲間のために、
ここまでやるのだな…。』
少し感動した。
そして、気がつくと、
また別の一羽が、
レフェリー&見張り役のようなさまで、
カアカアと鳴き続けていた。
しばらくして熱が冷めたのか、
争っていた二羽も含め一団は、
また何事もなく、
飛び立ち去っていった。
最後は、何も残さずに、
大人な振る舞いであった。
カラスの世界の
争いの型のようなものを
見させてもらった気がした。
そして、
人間も見習うところがあるのでは
ないかとも思った。。